ココナを呼ぶ男の声が
幻聴のように思えた
夢かとも思った
けどこれは紛れもなく
現実なんだ
~第三章~ 瞳
血の気が引いた。心の準備がまだ出来ていないのに。アイツの・・・・
ティセの声は僕の耳に体にそして心に響き渡った気がした。
『っと・・・!!ちょっとユタ君?!』
「・・・・・・・・・え?」
『え?じゃないわよ!!!ティセ君ょ!?』
「ティ・・・・・・ティセ!??!?」
〔はい?〕
まだ視界がぼやけてた。けれど僕の瞳に映るのは金糸の髪、僕と同じくらい
の背丈それと・・
青空の瞳
チガウ・・・・
僕の心は何故か安堵してた。それに落胆もしてた。会いたくなかったのか
会えなかったのが残念なのか。僕にはそれがわからなかった。
『どう?』
「サレン。違うよ。」
『違う・・・?・・・・の?』
「うん。瞳の色がね・・・違うんだ。アイツは金色の瞳をしてた。でも
ティセさんの瞳は空色・・」
『そっか・・』
「うん」
〔えっと・・・お取り込み中悪いんだけどさ・・・。何の話?〕
「僕達、人探しをしてるんです。」
〔人探し?〕
「そう。僕の片割れを探しに、サレンの妹を探しに・・」
〔で、何で僕のうちに?〕
「その・・・・・・似てたんです。僕の片割れに。だから、もしかしたらって・・」
〔そっかぁwそーいや俺達そっくりだよなぁw〕
ティセは嬉しそうに笑ってくれた。僕の顔にも思わず笑みが零れた。
その時ココナが眠たそうに大きな瞳を擦りながらティセの服を引っ張る。
【ねぇ・・・ティセぇ・・・・ココナ眠い・・・】
〔えぇッ?まだ御飯食べてないだろ?〕
【でも眠い・・ふぁぁ・・・】
ココナが小さな欠伸を漏らす。その仕草の可愛さに僕とサレンは目で合図を
した。
「じゃぁ、もう遅いし僕らは帰るよ」
〔もう行くのか?〕
「うーん。・・・明日の昼には次の待ちに出発したいしね。それに
ココナも眠たそうだしね」
〔そっか。また来いよなッ!!〕
【えぇw絶対にwじゃぁねwココナw】
《お姉ちゃんもう行っちゃうの?》
とろんとした瞳で必死にサレンを見る。そろそろ限界みたいだ。
「じゃぁねw」
〔おぅッw〕
【ばいばいw】
《またね。お姉ちゃん》
僕らは挨拶を交した。また会う日までの約束の言葉を。
だから全然淋しくなかった。
例えもう会えなくても心で繋がっていると思うから・・
―――――ティセはアイツじゃなかった今。僕らはまた歩き出す。お互いの
掛け替えの無い存在を取戻す為に・・
~第三章~ 完